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2006年5月新婚旅行

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    だいぶ遅れてしまったけれど、ハワイイ・カウアイ島へ新婚旅行。

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2017年4月12日 (水)

沈黙(成功と失敗)

Regenschirm

今朝、東京では季節外れと言っていいくらいの冷たい雨が降っていて、僕は下ろし立ての大きな蛇の目傘を持って家を出た。

降りだしたのが遅かったからか、或いは降雨が局地的なものであったためなのかは分からないが、傘を持っていない人の姿が、案外目立つ。わずかな雨ならば大して気にかけるようなこともないのだが、出勤前の服やセットしたての髪形が台無しになりそうなくらいの降り方だった。

傘を持っていない人たちの中には、信号を待つ間、建物の影に入ったり、鞄を持ち上げて雨よけがわりにしている人もいる。

そんな中で、僕の前に一人の若い女性が傘を差さずに信号が変わるのをじっと待っていた。服は何というのか知らないが、カシミアのような動物性の素材で、ベージュを基調とした落ち着いた色合いでまとめつつも、赤いイヤホンやかっちりと結んだ髪に、個性を失うことなく物事をうまくやり遂げていくぞ、という強い意思を感じとることができた。

その彼女の服や髪にも、雨粒は分け隔てなく降り注ぐ。それがなんともやるせないような気がして、僕は彼女の上に傘をかざした。といっても「濡れますからどうぞ」などと言っては不審に思われるかもしれないし、信号が変わるまでのごく短い時間とはいえ、初対面の大人同士が同じ傘の下に収まるというのは何となく気まずい。それで僕は、彼女に気づかれないように、彼女に雨がかからないが、僕自身もギリギリで雨避けになる位置に傘をかざした。それも急に暗くなったりしたら気づかれてしまうかもしれないから、わざと高い位置にかざすように。

もし、よほど注意深い人ならば、僕が傘を差している様子の不自然さに気付くこともあったかもしれないが、この朝のせわしい空気の中でそんな人もあるまい。自然に、無言のままそんなことができて我ながら上出来だと思った。

その次に電車にのった。ずいぶんな混雑で、閉まるドアに滑り込んだ中年男性の鞄が、そのドアに挟まってしまった。僕は反射的にその鞄を引っ張って、引き入れたので、扉が開き直すこともなく電車が出発した。その男性は「どうもありがとうございました」と僕に言ったのだが、僕は何も言わなかった、言えなかった。

この場合、「いえいえ、どういたしまして。それにしてもすごい混雑ですね」くらいのことを言えばお互い気持ちが楽になったかもしれないのに、と今となっては自分の足りなさに腹が立つ。

どちらも沈黙のままの、人助けといえないくらいの些細な出来事ではあったけれど、後味は大分違う。黒子ならば沈黙を通し、反対に気付かれていることならば、上手にコミュニケーションした方が良いという、ごく当たり前のことなのだろう。

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